Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第14章 ★宵の月光《及川 徹》
ドタバタの、そんな毎日は怒濤のように過ぎ、気が付けば曜日がくるくる変わる。
今日は週末、金曜日。ということは、明日が休み。ということは、いつもより夜更かし…
つまるところは、飲み会のお誘い、だ。
「岩ちゃーん、マッキーたちも来る?」
「おう。新入りも誘って歓迎会か?」
「だね。うちの部署からは影山、金田一とマッキーのところは国見かな?」
飲み会~?え~どうしよぉ!及川さんが来るなら行きたぁい、なんて黄色い声。あんな人のどこが良いんだ、ど・こ・が!?
誘われない内に、さっさと帰ろう。撮り貯めておいた月9があるんだ。ドアまでの距離、目測5メートル。最後の一歩を踏み出しながら誰に言うともなく、小さな声で挨拶をした。
『じゃ、失礼しま…』
「蒼井さん、行かないんスか?」
聞こえると同時に、ドアに伸ばした腕ががっしりと掴まれる。見上げると、黒いさらさらの髪。なんで、君が…
『か、げやまくん…帰りた…』
「及川さんが探してます。行きましょう?」
行きましょう?じゃなくて、行きますよ?って顔だよね、それ。
何も言えず、金魚みたいに口をパクパクさせていると、影山くんが大声を出した。
「及川さーん、蒼井さんも出まーす」
『なっ!?』
やったー!と喜ぶドコカのダレカサン。
内心でどうしようとか、影山くんなんてことすんだよとか、色々思う。それでも今は、行くことになった以上お財布の心配だ。
『仕方無いですねぇ。行きますけど、私の分は及川さんの奢りですよ?』
「もっちろん、飲んじゃってね☆」
『うわ、それ引く…』
「キモいわ…」
うへペロ☆とウィンクをする及川さんに、岩泉さんと引きつつ、荷物を持った。
よ~し、こうなりゃヤケだ、飲んでやる!
と、一人息巻きながら、いつもの居酒屋さんに向かうのでした。