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Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第13章  今を生きて《月島 蛍》



…ご臨終です。

先生の言葉が、やけに大きい。

なぁ、まだ死んでないよな?

だってホラ、

握る手は、こんなにも温かで。

流れた雫も温もりがあって。

「海宙、返事しろよ…」

握った手を揺さぶる。反応は無く、腕はずるりとベッドから垂れ下がった。

「寝てないでさ、起きてよ…」

タヌキ寝入りなら、見慣れてるからさ。

いっつもそうやって、騙してた。

いつもみたいに、また起きるんでしょ?

なら早く、その目を開けてよ…

「なぁ、海宙…返事、してくれよ…」

じゃないと、

君がいなくなったことを、

認めてしまうから。

「彼女は、もう…休ませてあげてください」

先生は僕の肩を掴み、立ち上がらせた。そのまま背を押され、病室の外に出された。

休ませる…?

それはつまり、

彼女は

もう

いない―――

「ぅうあぁああぁあああぁっ!!!」

怒りと悲しみと喪失感とがごちゃごちゃになった感情が溢れる。獣みたいに吼え、僕は床に崩れ落ちた。

「うっ、あぁ、っぐ、うぇ、ああぁ…っ!」

それから、人目もはばからずに泣いた。

海宙がいなくなってしまった。

ずっと隣にいたのに、

明日からもう会えない。

もう二度と、

その笑顔を見ることは無い。

悲しくて、哀しくて。

彼女がいない世界を、

僕は生きる気になれない。

好きと伝えたのはたった一度、

彼女がいなくなる直前。

もっと早くに伝えたかった。

機会は幾らでもあったのに。

後悔しか、出てこない。

そして何より、

これから先、

君と一緒に生きたかった―――


   
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