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私は醒めない夢を見る

第1章 日常


次の日、家を出て学校へ向かう途中、当麻君と出会った。
「おはよう当麻君。昨日はごめんね」
「いや、別にいいんですけど…大丈夫でした? 先生に頼まれごとしたって」
そうだった。そんな理由で二人を帰らせたんだっけ…。
「うん、大丈夫。大した事じゃなかったから」
まさかあんなこと言えないし、一応松野先生とも約束したし。
「ならいいんですけど…」
「あ、心配してくれてる? 当麻君は優しいね〜」
「心配しますってそりゃ」
「え? なんで?」
当麻君は真剣な顔で私を見つめる。
「……別に、深い意味なんてないですよ」
「それ、有るって言ってるようなもんじゃない?」
「まあそんなことどうでもいいじゃないですか。そうだ、先輩これどうぞ」
当麻君が差し出したのは、綺麗な青い石の付いたキーホルダーだった。
「わあ綺麗!どうしたのこれ?」
「昨日の帰りに渡そうと思ってたお土産です。と言っても、実際に旅行に行ったのは姉なんですけど。良かったら付けてくれませんか?」
「ありがとう。じゃあスマホに付けとくね」
私がキーホルダーを付けるのを見て、当麻君はどことなく嬉しそうだった。
そうこうしているうちに、学校に着く。当麻君とは下駄箱で分かれ、自分の教室に向かった。三階まで登ったところで、聞き覚えのある声に呼び止められた。
「皆川さん」
階段を曲がってすぐの廊下に、松野先生が立っていた。昨日の事もあってか、少し気まずい。私だけかもだけど。
「お、おはようございます」
「おはようございます。すみませんが、ちょっと手伝ってもらいたいことがあるんです。一緒に来てくれますか」
「はぁ」
「バッグは教室に置いて来てもらって構いませんから」
なし崩しでバッグを置き先生についていく。
「貴女のクラス、一限は生物で実験でしょう? 少し準備に手間取ってしまう可能性もあるので、皆川さんの手を借りたかったんです」
「別に私じゃなくてもいいじゃないですか」
「どうせ貴女はお暇でしょう?」
なんか酷いこと言われた気がする。
「それと、処分に困っているものもあるので」
それってまさか。
「別に動物の死骸とかではありませんよ」
そう言って、松野先生はクツクツ笑う。怪しいよこの人…。
「さあどうぞ」
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