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私は醒めない夢を見る

第1章 日常


「遅れてすみません先輩」
「当麻君おっそい!」
「うるせー雛沢」
一見すると陸上部のスプリンターに見える男子高校生、当麻君。
手には部室の鍵が握られていた。
「当麻君、また追っかけられてたの?」
「そうなんですよ…。俺は純文学に生きるって決めてるのに」
「でもなんだかもったいなーい」
「うるさい雛沢」
ごちゃごちゃと言いながら、部室に入ってそのまま雑談を続ける。
気がつけば、結構遅い時間になってしまった。
「あ、もう帰らないと」
「そうですねぇ暗くなっちゃいましたし」
そのとき私は、教室に数学の課題を忘れてしまったことに気が付いた。
明日提出の課題だ。忘れたら体育教諭顔負けの威圧感を誇る森山先生に怒られてしまう。それだけは勘弁してほしい。
「ごめん、教室に忘れ物しちゃったみたい。先に帰っててもいいよ」
「えぇ〜ダメですよ!暗いし一人じゃ危ないですよ!」
「そうですよ先輩。俺たち校門で待ってますから一緒に帰りましょうよ」
「ほら、当麻君も先輩と一緒じゃないと寂しいんですよ」
「う、うるせー雛沢!」
何故か当麻君は顔を赤くしながら雛沢ちゃんを追い払うように手をシッシと振った。
「なにそれ犬扱い!? 当麻君ひっどーい! 先輩、当麻君が帰っても私は待ってますからね!」
「ハァ!? ふざけんな雛沢ァ!」
雛沢ちゃんと当麻君はよくこうやって仲良く口喧嘩をしている。まるで子犬がじゃれ合っているみたいなそれは、実は見ていて面白い。中学から一緒となるとこうも仲良くなるのだろうか。
「あはは、ありがとう二人とも。早く戻ってくるね」
後輩二人の気遣い(?)にほっこりしながら、私は足早に教室に向かった。
…のだが。













「先生。私、先生が好き…」

なんでうちのクラスで告白!?
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