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私は醒めない夢を見る

第2章 秘密


さすがに外も暗いので校舎の中も暗い。
外の街灯の光や非常口が鈍く廊下を照らしていた。
廊下の突き当たりに来た時、鉄錆のようなにおいが鼻を掠めた。なんだろうこれ。
大分慣れてきた目を凝らすと、水道に黒っぽい液体が付いていた。これってもしかして、血液?
決して少なくない血の量を見て、背筋が凍った。もしかしたら、当麻君に何かあったのかもしれない。
ここには階段しか無いし、当麻君は二階に上がったのかも。私はゆっくりと階段を上がる。誰か他の先生を呼びに行く事も考えたけど、その間に当麻君に何かがあったらと思うとそれは得策ではないような気がした。
かつん、かつん、と自分の足音だけがやけに響く。
二階にも教室があるだけ。でも、階が上がった分多少は明るい。
近くの教室に入ると、教卓のあたりに誰かが倒れていた。
「大丈夫!?」
当麻君かと思って駆け寄ってみれば、倒れていたのはこの前松野先生に熱烈な告白をしていた女の子だった。相変わらず名前は知らないけど。
当麻君じゃなかったことに安心している自分がいた。
「ううっ…うっ…」
「しっかりして!」
ひどく魘されているから、ひとまず楽な体制にさせてあげよう。そう思って首の辺りに手を当てた時、ぬるりとした感覚が手に伝わった。
「…えっ?」
手を引き抜いて見てみれば、先ほど水道で見たのと同じ液体が付いていた。鉄錆のにおいが一層濃くなる。
あの血は、この子の…?
私は叫ぶより驚くより先に、倒れていた女の子に向き直った。呼吸はちゃんとしている。顔は暗がりでも分かるほど青白くなっている。
目を凝らしてよく見ると、首筋には縦に並んだ二つの小さな穴があった。なに、これ……?


「汚れて、しまいましたね」
「!!」


突然耳元で声がしたのと同時に、私は二本の腕に体を拘束された。
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