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【 銀魂 】愛を教えてくれた人 ― R18 ―

第3章 台所は女の城




**

狭い浴室にシャワーから少しずつ落ちる雫の音と、水面が揺れる小さなの音だけが響く。
成瀬は湯船に浸かりながら銀時に言われた言葉を思い出していた。


「大事にしろ、か……。んな事言われてもねぇ。」


成瀬は水面越しに自分の身体を見てそう呟いた。
太腿や腹回り、胸には腕や足先とは比べ物にならないほどの傷痕が残っていた。
そんな自分の傷をただぼーっと見ては視線を逸らした。

そして湯船から出てイスに腰掛け、改めて目の前の鏡に映る自分の身体を見つめた。


「相変わらず、きったない身体。」


まるで他人を嘲笑うかのように自分の身体を貶し、そう言った。
しばらく鏡越しに自分を眺めた後、すぐに気持ちを切り替え、頭、身体と次々に洗って行く。

身体の泡を流し終えた後、今度は身体では無く自分の顔を見た。


「何もかも消えればいいのにね。泡みたいにさ。」


無心に自分の顔を眺め、まるで囚われたかの様に視線を外そうとはしなかった。
だが次第に思考はさっき窓から捨てたペンダントへと辿り着き、気がついた時には目から涙が零れていた。

成瀬はその涙を見た時我に返り、そのタイミングで玄関が開く音と共に新八の声が聞こえた。


「あー、やめだやめだ。」


成瀬は気持ちを切り替える為に、シャワーの蛇口を捻った。
そして赤い位置にあった温度調節の蛇口を青い位置まで捻り、水を頭から浴び頭を冷やそうとした。
空気も身体も暖かい中当てられた冷水は成瀬の肌を酷く刺激したが、それも我慢し水を浴び続けた。

ひとしきり浴びた後シャワーを止め、ふぅっと一息ついては立ち上がり、成瀬は浴室を出た。


「無闇に水は浴びるもんじゃ無いな……。」


成瀬は寒さに震える身体を覆うようにタオルで身体を拭いた。


「必要なもの、いろいろ買いに行かないとな。」


服を着ようとした時にふとそう思い、独り言を呟く。
抵抗はあったが無いものはどうしようもなく、もともと身につけていた下着を付け着物を羽織り、浴室を後にした。


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