第3章 台所は女の城
銀時や神楽に続き、一段落した成瀬と新八もソファーに腰を下ろしご飯を食べ始める。
神楽はおかわり!と、ようやくご飯にありつけるとお椀を手にした新八をパシる。
「ご飯くらい自分で入れてよ!」
「嫌アル!眼鏡の癖に生意気ネ。だからお前はいつまで経っても新八なんだヨ!」
「名前は関係無いでしょうが!!」
言い合いが始まり一気に部屋中が賑やかになる。
しばらく口喧嘩で収まっていたものの、遂に取っ組み合いが始まり、新八はアッサリと倒れ、とぼとぼと台所へ神楽のご飯を粧いに向かった。
成瀬はその光景を眺め、違和感を感じていた。
箸を止めたまま動かないそんな成瀬に気付いた銀時が心中を探ろうとする。
「そんなに珍しいか?こういうの。」
「……そうだな。ま、でも珍しいのか、それともこれが当たり前なのか、そんな事私には分からないけど。」
二人を見つめたままそう答えた成瀬に銀時は何も言わず、再び箸を進めた。
しばらくしてようやく全員が朝食を食べ終え、新八は全員の食器を台所へ運んでいた。
「私も手伝うよ。」
「あっ、いいですいいです!成瀬さんはゆっくり休んでて下さい! 」
何か手伝おうと成瀬は新八に声をかけたが、様々な理由を付けられ首を縦には振ってくれず渋々部屋に戻った。
部屋に戻れば神楽が家の中にも関わらず定春と戯れていた。
あまりにも大きい定春を目の前にした成瀬はその場で硬直してしまった。
「何その犬。動くんだ。てっきり置き物かと思ってた…。」
「違うネ!定春って言うアル!」
この家に来た時からずっと視界には入っていたものの、生き物だと認識していなかった成瀬には衝撃の光景だった。
確かに見た目は可愛いが、兎に角その巨体が動く様子に度肝を抜いていた。
「じゃあ私定春と散歩行ってくるアル。成瀬も怪我が治ったら一緒に行こうね!」
神楽は成瀬の気等一切知らず、そう言って定春と共に家を出ていった。