第2章 僅かに見えた希望の鼓動 咎色の雲へと
あのままスバルくんに教室を案内してもらい、授業を受ける。
そう言えば私の『気配が消えた』ってスバルくん言ってたよね・・・何でだろう?
休み時間になったらスバルくんに聞いてみようかな。
「いっ・・た・・!」
プリントを手渡しながら考え事をしたせいか、指を切ってしまった。
紙で切ると痛いんだよね・・・。
結構深いし、血が止まらない。
机や筆記用具を血で汚したくはない。
「保健室行ってきます。」と告げ、そのまま小走りで教室を出た。
しまった!保健室が解らない
スバルくんに付き添いお願いすれば良かった・・・
取り敢えず水道で血を洗い流そうか。
「あれ?」
階段を降りたらシュウが居た。
何で?学校でも相変わらずだなぁ。
私が声を掛けるより早く腕を掴まれる。
「シュウ良かった。保健室行きたいの。」
「このまま家に帰る。」
「えっ・・・どうして?」
私の質問に答えないまま私の腕を掴み歩き出す。
様子のおかしいシュウに戸惑いを隠せない。
「ねぇ。」
───無視。
「シュウ・・・」
「・・・うるさい。」
腕を掴む力が増した。
「──っ!!」
外は雨が降り出していた────。
勿論傘はない。
「シュウ濡れちゃうよ!」
「ねぇ!聞いてる!?」
何を問い掛けても返答のないシュウ。
「シュウ・・・恐い。」
握られた手が少し緩められた。
ここぞとばかりに腕を振り解く。
シュウは驚き振り返るが、その顔は直ぐに不機嫌な顔に戻った。
何でそんなに怒っているの?
理解出来なくて涙が出そうだ・・・
だから俯き立ち止まる。
シュウの溜息が聞こえる。
「・・・どうしても帰りたくないないんだな?」
「そう言うわけじゃ・・・」
「なら黙って見てなよ。」
「え?」
シュウは傘をさした女の子に近付いた。
驚く女の子の首に・・・シュウは・・・
な・・・に?
嫌な感じがする。
──傘をさしていた女の子は
シュウ・・・・・。
──シュウの足元に崩れ落ちる
落ちた傘を拾ったシュウが、ゆっくりと私へ向かって歩いて来た。
「これで解っただろ?」
そう言って私を抱き寄せたシュウ。
口の端からは赤い何かが滴っていた。
「なんで・・・」
目の前が真っ暗になっていく
シュウの香りに混じる錆びた匂いに包まれながら・・・。