第10章 ───血塗れの首元で感じて─────
「ん・・・あれ?」
ここベッド?私の?
時が許すならずっとこの腕の中に囚われていたい。
目の前の鎖骨にそっと唇を寄せて、起こさない様に腕から抜け出した。
夜のお散歩楽しかったなぁ・・・
また行きたいな。
ぐっと伸びをして部屋を出る。
・・・シュウは、ちゃんと部屋で寝たのかな?
リビングへ降りれば昨日のままのシュウが、ソファーに寝転んでいた。
「もう・・・!」
ちゃんベッドで寝ないと疲れ取れないと思うけどな・・・
それにしても寝起きだからだろうか、少し肌寒い。
ストールを取りに部屋に戻りたいけど目の前にカーディガンを羽織った方が居るではないか・・・!
「シュウ起きてー
カーディガン借りちゃうからね?」
カーディガンを手にした腕は、簡単にシュウに捕まった。
「懲りないな。」
「あ、おはよう?」
「おはよう?」
意地悪く笑ったシュウ。
そのまま引っ張られた私は、腕の中に収まった。
「危ないなぁ。」
「どっちが?」
「そっちが。」
「あっそ。」
言いながら手は頭に添えられる
そのままあまりにも心配そうに撫でるから、されるがままだ。
「昨日より体調良くなったよ。」
何も答えないまま、シュウはゆっくりと瞬きをした。
「狼くさい。」
「寝る前にシンくんと散歩行ったからね!
楽しかったよー?シュウも行こうね!」
「・・・めんどくさ。」
「たまには面倒なのも良いと思うよ?」
シュウの指先が前髪に触れ掻き分けた。
「前髪切ろうかな・・・───」
それに対して「うるさい。」と口にした唇が、額に触れた。
「なっ!?」
やっぱりシュウちょっとオカシイよ・・・
どうしたんだろう?
「おい。どうした?
さっさと連れて行きなよ。」
「シュウ?」
誰に話し掛けて・・・
いきなり伸びてきた腕に軽々と抱き上げられた
「アンタの家族じゃなきゃ殺してる。」
「シンくん・・・」
驚く私の手から放されたカーディガンをシュウは手に取る。
「そりゃどうも。」
そう言ってだるそう身体を起こし何処かへ消えた。
「帰るよ。」
さっきの見られてたよね・・・
明らかに怒ってる。
「シンくんあの・・・」
「言い訳は帰ったら聞いてあける。
言い訳する余裕ないかもしれないけど・・・ネ。」