第10章 ───血塗れの首元で感じて─────
頭を撫でていてくれた手が髪を掻き分け後頭部に添えられた。
シンくんの手が私に触れている
今はそれだけでも嬉しい。
ゆっくりとくっついた額。
「まだ何もしてないのに何て顔してるの
・・・ホントずるいよネ。」
空いている手は頬に触れ指先がそっと唇に添えられた。
「ココは何を望んでいるの?」
牙が覗く口が厭らしく弧を描く。
「・・・シンくん」
「そうだね・・・ねぇ?
帰ったらさ、覚悟しておいてよね。」
「覚悟?」
「そう。アイツに触られたんだ・・・
お仕置きが必要でしょ?」
その言葉に期待してしまった私は、どこかオカシイのかもしれない。
「その顔、嬉しそうだね。
可愛いよ・・・。」
「シンくんと居ると顔が熱い。」
「身体もでしょ。」
触れるだけの唇にびくりと震える
「こんなんで感じちゃって・・・」
「ごめっ・・・んっ・・・」
謝るより早く唇を塞がれる。
甘い口付けに酔ってしまいそうだ。
「っは・・・」
シンくんは私の知らない私を引き出す。
「もっ・・・と・・・」
「ホント煽り上手・・・」
ぎゅっと抱きしめてくれるから甘えてしまう。
幾度となく唇を重ねても足りないと、それ以上を望んでいる私が居る。
「・・・こっちの身にもなってよね。」
「んっ・・・」
唇を甘噛みするシンくん。
私の思考はどんどん蕩けていく。
「途中で止めたから
欲しくて仕方ないんでしょ?」
耳元で意地悪く笑うシンくん
「っ・・・」
赤く染まる頬に触れる指先はどこまでも優しい。
「なんでこんなに気持ちいいの?」
思い浮かべた疑問は口から零れた。
「さあね。
続きは帰ったらたっぷりして・・・あげる。」
益々色付く頬にシンくんは唇を寄せた。
「ちゃんと我慢できるの?」
「もう・・・!
我慢するから、抱き締めてもいい?」
「いいよ。
オレもアンタに抱き締められたい。」
包み込むように背中に手を伸ばした。
シンくんが腕の中に居る
それだけで、こんなにも安らぎを得る事ができる。
私なんかが傍にいていいのかと、思う位に。
「・・・ありがとう。」
「別に・・・
お礼言われる様なコトしてないけど。」
「ふふっ。そっか!」
「そうだよ。
だから、もっと抱き締めてくれない?」
「そんなにシュウの匂いする?」