第8章 Ⅱ ───狂おしい程に───
この寝顔が、オレのモノだって・・・どうしたら信じられるの?
が兄さんじゃなくてオレを選んだって・・・どうしたら───・・・
「ねぇ...」
このまま離したくないんだ。
腕の中から聞こえる小さな寝息に思わず笑みが零れる。
この耳と尻尾どうするんだか・・・
別に、悪くはないケド。
あぁでも、逆巻のヤツらが乗り込んで来る前に近状報告でもしとかないとかも...
メンドクサイけど揉めるよりはいいよね。
「フッ。」
オレもまるくなったもんだね...。
「シン・・・ん」
「ん?」
・・・寝言ね。
は寝返りをうってオレに背中を向ける。
なんだか、ソレが無性にむかついて思い切りを抱きしめた。
────抱き締めていないと不安になるオレを、わらってくれていいから傍に居てよ。
・・・言えもしない言葉が次々と湧き上がる。
伝えられない事を考えても、仕方がないのかもしれないね...。
口に出してしまう前に瞼をゆっくりと閉じた────・・・
「ん・・・」
に話し掛けられた気がして目が覚めたけど、気のせいだったみたいだね。
居ないし。
お風呂がどうとか言ってた気がするし、リビングで待ってれば出てくるでしょ。
軽く着替えをすまし、部屋を出る。
ん?待てよ・・・のあの状態兄さんに見られたらヤバイんじゃないの?
リビングの扉に手を掛けた。
兄さんとの気配がする・・・が心配で乱暴に扉を開けば、オレを睨む兄さんが居た。
は!?
の姿を確認すると同時に兄さんは唇に人差し指を宛てがう。
・・・何それ。
なんで兄さんの隣でが寝てるわけ?
苛立ちを足音に込めながらソファーの後ろへ回り込む。
抱き上げようと腕を伸ばすけど兄さんに制される。
「寝かせてやれ。」
言いながらさりげなくの髪を撫でた兄さん。
“触るな”と、口を開きかけたけど兄さんの方が早く口を開いた。
「なんだ?その顔は・・・」
「・・・別に?」
「まぁいい・・・無理に目覚めさせるな。」
そう言って出て行った。
「もうこれは確定だよね・・・」
兄さんは絶対を・・・────。