第1章 Ⅰ ──無数に滲んだのは、泡沫の日───
「うるさい!!特にアヤト!!!なんでボクには貸さない癖にには貸すんですか!!?
本当にイライラします・・・。」
「やべっ。」
「ヤバイじゃあないでしょ!?
ごめん!カナトくん。」
「はぁ・・・?何に対して謝ってるの?そもそもがちゃんと制服を着れないのが悪いんじゃないですか?
少し痛い思しなきゃ解らないのかな?」
どうしよう・・・
怒ったカナトくんは手が付けられない。
「。」
声の方へ振り返るとアヤトがバルコニーにいた。
「来い。」
アヤトの元へ駆け寄るとカナトくんが叫んだ。
「まだ話してます!!何処に行くんですか!!!」
「ごめんカナ・・・───えっ?」
急にアヤトに抱き抱えられて言葉に詰まる。
「ちゃんと掴まってろよな。」
「なに?アヤト!?」
「なにって・・・ここから降りるに決まってんだろうが。」
『んな事も解んねぇのかよ。』と言いながら飛び降りる。
恐い!!!!ちゃんと着地でき・・・・・・・た。
「アヤト!絶対に許さない!!」
アヤトの部屋からカナトくんの声がした。
「ハイハイ。勝手にしろよ。」
アヤトの私を抱く手が緩められた途端に、私は地面に崩れ落ちる。
「うわぁ・・・。」
「げっ。腰抜かしてんじゃねぇよ。
これだから・・・」
「これだから何?」
「な、何でもねぇよ。
取り敢えずオマエは先に学校行ってろよ。
じゃねぇとあのヒステリー何するかわかんねぇからな!」
「独りで?」
「レイジの野郎には言っといてやるから・・・よっと」
又もやアヤトは軽々と私を抱き上げた。
「歩ける。」
「ウソつくんじゃねぇよ。メンドくせェな。」
高いトコロから降りるの慣れてないから怖かったし・・・
「・・・。」
「ホラ。ちゃんと掴まっとけよ・・・」
「ん・・・有難う。」
大人しくアヤトの胸に顔を埋める。
「ククッ・・・ガキ。」
「うるさい・・・。」
私はリムジンに押し込まれ、独りで学校に向かう。
「よろしくお願いします」と伝えても使い魔の運転手からは勿論返事は無い。
不安だけが募る。