第1章 Ⅰ ──無数に滲んだのは、泡沫の日───
下着見られた。
「恥ずかしいなぁ。」
「何が恥ずかしいんですか?」
スバルくんの部屋を出た処でカナトくんに声を掛けられた。
「な、何でもない!」
「・・・顔。紅いですよ?・・・?」
そっと私の頬に触れるカナトくん。
「カナトくんの手、気持ちいい。」
心地良さに目を閉じる。
「あれ?リボン着けないんですか??」
「この白いのだよ?」
レイジさんは服装にも厳しいから渡し忘れはないと思うけど・・・。
「そのリボンの上に襟の・・
ココにもう一つある筈です・・・。」
頬に触れていた手を下ろし、リボンを優しくノックする。
「でも白いリボン可愛いから、これだけで充分だよ。」
「そうですか・・・赤い・・・アヤトの・・・
そうだ!アヤトのを使いましょう!」
「え?アヤトの?」
カナトくんは私の手を引いて歩きだした。
アヤトのって・・・
あの首に巻いてるやつ?だよね・・・?
「アヤト。入りますよ。」
声を掛けると同時にアヤトの部屋を開けるカナトくん。
「んだよカナト。」
不機嫌そうにベッドから起き上がったアヤト。
又、制服のままゴロゴロして・・・レイジさんに怒られるのが目に見えている。
「その首の、貸して下さい。」
「はぁ?いきなり何言ってんだ。」
「いいから貸して下さい。」
「はい。どうぞ。って渡すバカいんのかよ。
これはオレ様のだ。
どうせ変な人形にでも使う気だろ?誰が貸すかってんだ!」
「・・・違います。早く貸して下さい・・・。」
あっ・・・カナトくんの手が少し震えだした。
これはマズイ・・・。
カナトくんの前に出る。
「カナトくん大丈夫!私リボン要らないから行こ?」
「なんだもいんのかよ。
リボン?オレ様のをリボン代わりにしようってか?
の癖に随分偉そうじゃねぇか。」
「別に偉そうじゃないでしょ?」
「んな事より自分でリボンも結べねぇのかよ
わざわざカナトなんかつかいやがって。」
頬を抓られた。
「オレ様がやってやるよ。」
私とアヤトの、距離が一気に近くなった。
「大丈夫だって!ね?」
「なんなんですか・・・。」
「あぁ?んだよカナト。」
アヤトの視線がカナトくんへと移る。
「アヤトやめ・・・───!」