第6章 失態覚悟の欲を晒しあえばいい
シンくんは立ち上がり背中を向けた
──待って・・・もう離れるのは嫌だ。
慌ててシンくんの尻尾の飾りを掴む
「なに?」
「・・・行かないで。」
「なんで?」
座り直したシンくんは私に視線を合わせてくれた。
だけど、彼の言葉は淡々としていて泣きそうになる。
「用が無いなら行くけど。」
「やだ
好きなの・・・だから・・・」
言い終わる前に涙は溢れてしまうから困る
「あの・・・傍に居させて・・・?
シンくんの傍に、居たいの。
人形でもいいから・・・お願い。」
────あぁそうか。
好きになるって、こういうことなんだね。
シンくんの指が、そっと私の涙に触れる
「良く・・・できました。
いい?一生離してあげないから覚悟しておきなよ。」
こんな私を?
「はオレのものだ。
だからもう泣くんじゃないよ。」
シンくんの唇が私の唇に重なった。
シンくんが又私に触れてくれている。
「おいで。」と、シンくんは両手を広げた
笑顔で言うからズルイ。
私は言葉を返す事も出来なくて、シンくんの胸に飛び込む事しかできない。
「人形は泣かないんだけどな。」
前髪を掻き分け額に唇が触れた。
「ごめん・・・」
そうだよね・・・人形は泣かないもんね。
唇を噛み締め涙を堪える
「ククッ・・・嘘。
・・・もっと見せなよ」
フワリと身体が浮いた気がした。
目を瞑って居ても解るここは、シンくんの部屋だ。
それが嬉しくてシンくんの背中に手をまわす
そんな私の頭を撫で、抱きしめ直してくれるシンくん。
「ねぇ。
誰にも見せたことない顔
見せてくれない?」
頭上からシンくんの声。
え?・・・どんな顔かな
考えてみるけど、解らない。
「・・・ちょっと強引にいくよ?
いいね?」
よく解らないままベッドに押し倒されてしまう
「あっ!」
ベッドはふかふかでシンくんの香りがする。
・・・私シンくんのベッドに居るんだ。
そう思ったら急に心臓は煩くなるから、どうしていいか戸惑ってしまう。
あ・・・私がドキドキしたらシンくんにはバレてしまうんじゃないかな
平常心・・・平常心・・・平常────
ベッドが軋む音と共にシンくんの影が重なる
「これ以上煽んないでよ...。
そんなに滅茶苦茶にされたいの?」
煽る?