第5章 壊れた想いは Non Continue?
────の虚ろな目から流れた涙をオレは忘れる事はないんだろうな.....。
狼達の餌を取りに屋敷に戻ったら、こんな所に居るはずのないに会ってしまった
・・・声を掛けずには居られない。
だけど、の反応はオレを苛立たせる事に秀でていた...
歯切れの悪い返事に、逸らされた視線。
どうしたってオレの返事は意地の悪いものになってしまう
それに中庭に用があるのはオレだし。
「ん?・・・あぁ。
兄さんが結界を張ってるから当然だよね。
そんなの大好きな兄さんに解いてもらえばいいんじゃない?
・・・まぁ絶対無理だろうけど。」
────本当はさ、優しい言葉だけを掛けたいんだ。
だから今は側に来ないでよ...。
「じゃあね。」
「待って!!私に出来ることなら何でもするから
・・・だから中庭に連れて行って下さい!!」
頭なんか下げてさ...
オレがアンタの頼み断れるわけないじゃん。
だってアンタの手、震えてる。
「・・・まぁそこまで言うなら仕方ないよね。
何でそんなに中庭に行きたいのか知らないけど連れて行ってやるよ。
その代わり今の言葉、忘れないでよね。」
何回も頷く。
あぁ・・・クソっ。
・・・・・・可愛いな。
「兄さんには言わないでよ?」
オレは扉を開けた。
「すごい!中庭だ!」
狼達が早速で寄ってくる
「ハイハイ。
待たせたね...ホラ食べな。」
狼達にナッツを与える。
オレもナッツをつまみながら辺りを見回すが、あれ?
コイツ等こんなに少なかったっけ?
少し離れた処での笑い声が聴こえる。
声がする方向を向けば狼とじゃれあってるが居た
やっぱりさ・・・アンタは、笑ってた方がいいよ。
「シンくん有難う!!」
「どういたしまし・・・て!」
言いながらと狼達に向かって両手一杯のナッツを投げる
より一層増した笑い声に安らぎを得る。
悪くないね。
認めてしまえばそんなに嫌なもんじゃないかもしれない。
そんな風景を眺めていたが、狼を抱き締めたは動きを止めた
徐々にの瞳が光を取り戻している様な気がした。
オレには、それがとても嬉しくて
柄にもなくの元へ駆け寄っていた。