第4章 始祖遊戯―SeeSawGame―
そのままカルラさんは私を抱き寄せ、首元に顔を埋めた
さっきは浄化しなかったのに...何で今なの?
「カルラさ、」
どうして...
シンくんの前で────
「んッ・・・」
カルラさんの牙で・・・
「・・・っ・・・はぁ・・・・・・」
抗う術も無く、堕ちていく私をこれ以上無い程に優しく抱き締める腕。
「・・・・・・シン・・・く・・・───。」
カルラさんの香りに包まれながら私という人形は意識を捨てた。
────シンくん・・・好きです。
どうか私を、カルラさんから奪って下さい。
こんな気持ちはシンくんに届くはずもなく、
伝えてもいけない。
何も出来ない、してはいけない。
こんな私は、逃げてばかりの私は汚いでしょうか?
汚れた私がこの目にシンくんを映してしまえばシンくんをも汚してしまう。
それは、それだけは・・・嫌だ。
きっと『恋』なんて、勘違いだったんだ
だからこの想いも閉ざしてしまおう。
優しい彼を汚してしまう前に、傷つける前に
シンくんの隣には立てないけれど、
幸せを願うだけなら許されるでしょうか?
私は始祖の人形なのだから
始祖の幸せを────・・・
もうシンくんに笑い掛けてもらいたいだなんて思わないから、だからきっと・・・幸せになって下さい。