第4章 始祖遊戯―SeeSawGame―
暗い部屋の中で目が覚めた。
怒鳴り声も、金切り声も、聴こえない穏やかな目覚めなんて初めてで、ここは逆巻家ではないと朧気な頭で理解する。
そうだ...月浪家だ。
上半身を起こすが違和感と気怠さに苛まれた。
私ベッドまで辿りつけたっけ?
部屋を見渡すがこの部屋の主は居らず、代わりに新品であろう女性の服が、ソファーに折り畳んで置いてある。
「着なさいって事かな?」
シャツ一枚ってのもおかしいもんね
ご好意に肖りますか。
身支度を整えるためにシャツを脱げば、うっすらと牙の跡
「夢ではなかったんだね...。」
・・・私シンくんとキスした・・・ん・・・だ。
思い出した瞬間顔が赤くなるのが自分で解った。
シンくんは誰にでもあんな事するのかな?
そう思うとモヤモヤと苦しくなった。
それに私は純血のヴァンパイアではないのかな?
兄達は知っていたの?
考えたところで真実はお父様にしか解らないけど
きっと今は私が何故月浪兄弟に、吸血されなければいけないのかって事を教えて貰わなきゃ...
シンくんと一緒に居てわかった事がある。
胸は苦しいし、ころころと変わる自分の感情に疲れる。
カルラさんなら何か知ってるかな?
問うべく、シンくんの部屋を後にした。
・・・ほらやっぱり解らないよ。
カルラさんの部屋はどこ?
シンくんの案内ちゃんと聞いておけば良かった...
もう窓から外出てみる?
窓に手を掛けた時ふと、カルラさんの香りがした。
振り向いた先の扉が少し開き声がした。
「貴様そこで何をしている?」
カルラさんの声だ!!
既に扉は開いているが、一応ノックをし伺いをたてる。
「カルラさん
入ってもいいですか?」
「好きにしろ。」
部屋に足を踏み入れれば本の香りに包まれた
室内・・・それこそ天井まで色々な書物に覆われている。
その中でカルラさんはソファーに腰掛け分厚い本と向き合っていた
「・・・すごい。」
私は落ち着きなく本棚を眺めてしまう。
「私に用が有ったのではないのか?」
カルラさんは本から視線を逸らさずに言った。
「はい!あります。」
カルラさんに歩み寄る。
「あのですね・・・」
「おい、貴様。
始祖王を見下すとは大した度胸だな...。」
でた!始祖王。
「申し訳ございません。お隣失礼します。」