第4章 始祖遊戯―SeeSawGame―
慣れない抱き心地に目を覚ます。
そういえば抱いたまま寝たんだっけ。
腕の中にいるはまだ夢の中。
視線を落とせば胸元にはキバの跡、それに妙な満足感を覚えた。
「今日のオレもおかしいや。」
と一緒にいると調子狂うのは解っているから起きる前には離れたいんだけど・・・
の手に触れる。
「小さい手。」
オレの服を掴む指を1本づつ解いていく。
全部離したと思った矢先に手を握られた。
本当に何故だか解らないけど胸が苦しくなって、気付けば抱き締めていた。
「本当にわけがわからない。」
溜息をつきの首筋に顔を埋める。
これじゃあオレが抱き締められてるみたいじゃない。
「なにやってるんだかね...。」
この子は兄さんの・・・は・・・
オレの玩具・・・ではない。
・・・解ってる。
だけど、オレはこの子に触れたら・・・近付いたら解らなくなるんだ。
それどころか、誰にも・・・兄さんにも触れてほしくないっておもってしまう。
そしてこれは、理解してはいけない感情だって事も薄々解ってはいるんだ。
『 血が美味い』からって、何度も自分に言い聞かせる。
1度触れてしまえば、もう思い出の中のアンタじゃ足りない。
重ねた唇が、牙を挿した肌が・・・
オレは今のアンタが────・・・
そっとの手を取り口付けた。
「ずっと・・・
このまま起きなければいいのに・・・ネ。」
永遠に。
昨日まで何を考え、何をして過ごしていたんだろう。
それすら思い出せない程に、今のオレはどうかしている。
どうすれば、考えないで済むの?
これ以上乱されたくなくてをベッドに残し起き上がった。
もう一度出会えた。
兄さんのモノ。
「どっちが運命なんだか・・・」
バカバカしい。
っていうか服を用意してあげなきゃ、あの子着替えないんじゃないんじゃないの?
流石にオレの服じゃ動きづらいだろうし、兄さんに文句言われるのも面倒だ。
何より・・・兄さんが零した血が、オレの服に付着するのは不愉快極まりない。