第1章 Ⅰ ──無数に滲んだのは、泡沫の日───
危なくリボンなしのロングスカートになるところだった……。
真新しい扉をノックし開ける。
「スバルくん!!釣りにき・・・────!!」
「あ?」
着替え中のスバルくんが振り返る。
「オマエか。」
私を通り過ぎ扉を閉めた。
「スバルくん服!制服!」
「あぁ?」
言いながら、私の全身を見る。
私の制服じゃなくて、スバルくん服を着て。
「ちが──。」
「・・・可愛いんじゃねぇの?」
「っ!?本・・・当?」
「なっ、何照れてんだよ!!」
何故かスバルくんの顔が赤い。
「だってやっぱり可愛いって言われたら、嬉しいから。ね?」
私はソファーに座る。
「・・・そうかよ。」
やっと制服着てくれた。
「そうなの。
・・・ある程度スカート短い方が可愛いよね?」
「そんな事は知らねぇよ。」
クッションを投げられた。危ないなぁ。
そのクッションを抱えながらスバルくんに質問をする。
「でもさ私、スバルくんの歳下なのにスバルくんと同じ学年でいいのかな?」
「そんな事言ったらオレ達高校生でいいのかって話になってくるぞ。」
「そっか!確かにね。」
「とにかくだ!オマエはオレから離れるなよ。」
「えー・・・。」
お友達できるかな?
「文句あんのかよ?」
「ありまくりだよ!」
スバルくんにクッションを投げ返す。
「年上の言う事は聞け。」
いつの間にか投げ合いを始めてしまった。
「嫌です!」
と横を向いたら顔に直撃・・・ソファーに寝転がる。
「フッ・・・ハハッ馬鹿じゃねぇの?だっせ。」
とてもとても楽しそうに私の顔を覗き込むスバルくん。
「誰のせい?」
「オマエがば────かッ!?」
スバルくんに蹴りを入れてみるが、届く前に足首を掴まれた。
「なッ!!?」
本当反射神経良すぎでしょ。
昼間ならいけた筈・・・
「なぁ。この脚どうするつもりだったんだ?
返答次第で放してやらねぇ事もねぇけどな。」
意地悪く笑うスバルくん。
「はーなーしーて!」
精一杯脚を動かす。
「おい!バカ暴れんな!
スカートの中見え・・・る・・・ぞ」
うそ!?
「みた!?」
「み、見てねぇよ!!」
脚を放し、横を向くスバルくん。
・・・髪の間から見える耳が赤いんですけど?