第1章 Ⅰ ──無数に滲んだのは、泡沫の日───
「が高校生とは……早いものですね。」
レイジさんが私をまじまじと見て呟く。
「・・・おじさんみたい。」
「なにか?」
立ち上がり私を見下ろした。
「なんでもありませんわ。御兄様。」
「よろしい。
・・・ですが曲がっていますよ。」
と、手際良くリボンを直してくれる。
「有難う。」
お礼を述べればレイジさんの掌が私の頭を撫でる。
レイジさんは本当に良いお兄ちゃんだと思う。
色々な事を教えてくれるしご飯は美味しいし、何より優しい。
「おいレイジ。
ついでにこのイヤホンも直してくれよ。」
あれ?珍しくシュウが起きてる
「はぁ・・・何がついでですか。
お断りします。どうせ雨の中寝ていて壊したのでしょう。」
「こら!!」
「シュウ見て見て制服!どう?」
シュウの寝ているソファーに駆け寄る。
そんな私を片手で引き寄せ座らせた。
「あのなぁ・・・
コイツに貸したらこうなった。だからレイジ。オマエが直せ。」
何故かリボンを解かれる。
折角レイジさんが綺麗に直してくれたのに・・・
「制服にシワがつきます。
シュウに寄りかからないで、ちゃんと座りなさい。」
「・・・ん。」
腰にまわした手を放してくれない。
何故かシュウと居ると眠くなる。
「この飾り簡単に解けてなんの為にあるんだ?
どう考えても男を誘う為だろ。」
「シュウ!余計な事を言わないで下さい!も寝ない!!」
「ん・・・。」
眠い
「それに、スバルと同じクラスですから大丈夫でしょう。」
「どうだか・・・」
私が悪いのか、私のリボンが悪いのか
「シュウどきなさい。」
「・・・うざ。」
面倒くさそうに身体を起こすシュウ。
私を挟む形でソファーに座る2人。
「こちらに向きなさい。」
言われるがままにレイジさんに向き直る。
先程と同じ様に、リボンを綺麗に結んでくれた。
「これも短すぎんじゃねぇの?」
睨みつける様にスカートに視線を落とすシュウに少し恥ずかしくなり、慌てて立ち上がる。
「こ、これで男の子釣れるんだね!
じゃあスバルくん釣ってくる!」
「こら!待ちなさい!釣らなくていいです!!!」
「笑える。どうするんだか・・・」
2人が何か言ってるのを無視してスバルくんの部屋へ向かう。