第3章 心臓に流れる紅い確執
私は何をしているのだろう?
よく知らない月浪兄弟達のお屋敷に連れて来られて、その兄に血を吸われたなんて・・・どうかしている。
でも、今の私には此処以外に居場所はない。
「立ち止まるならさ
手、離してくれない?」
「ごめんね。」
哀しくなってきて自然と足が止まる。
「眠いんじゃなかったの?」
「わっ!」
シンくんに腕を引かれ扉は閉まる
「眠いけど・・・」
シンくんと一緒の部屋なんだよね・・・ベッドは大きいけど1つだし・・・でも、ソファーがあるから大丈夫かな。
ソファーに座りシンくんの部屋を眺める。
「取り敢えず着替えはこれで我慢しなよ。」
シンくんのモノであろうシャツを渡され、受け取った。
「有難うございます。」
「血の付いた制服で寝られても困るからね。」
あの時・・・キスされて、血を吸われた。
「何興奮してんのさ。
どうせ兄さんに血でも吸われたんでしょ。」
「なんで解るの!?」
「アンタの口から血が垂れてた...」
シンくんは私に近寄り言った。
「そっか・・・」
見られてたんだね。
「それと、始祖に血を吸われる事
光栄に思いなよね。」
シンくんの視線が鋭く感じられ思わず立ち上がる。
「ククッ・・・安心しなよ。
兄さんのモノに手は出さないからさ」
と、さっきの眼光が嘘の様に髪を優しく梳かれた。
「っ・・・」
なんだろう・・・唯、髪にシンくんの指が触れただけなのに顔が熱い。
「はぁ・・・。」
シンくんは溜息をつき私の髪に触れるのをやめた。
「シャワー浴びてくるけど、アンタは?」
「い、行く!」
「じゃあ、お先にどうぞ?」
私はドアノブに手を掛けたまま立ち止まる。
あ、バスルームって...
「早く行きなよ。オレを待たせるなんて・・・
ねぇもしかして」
背後にシンくんの気配。
「バスルームの場所、
忘れたなんて言わないよね?」
耳にシンくんの吐息が掛かる
「っ・・・・言わない。」
「ふーん。」
言いながらシンくんは左手を扉に添えた。
「それなら別にいいけど。」
いきなり私の首筋に顔を埋めるシンくん。
「んっ・・・」
予想外のシンくんの行動に声が漏れる。
「あんまりさ、そういう反応───」
「っえ・・・?」
「あぁもう!うるさいな!」
何故か怒って部屋を出て行ってしまった。