第3章 心臓に流れる紅い確執
「いや・・・違うな。」
確かに小さい頃の記憶は朧気で、狼のシンくんと遊んだ事も最近思い出したばかりだし、思い返せばお母様は居なかった。
たからって、私のお父様は兄達と一緒で....今更疑う余地もない筈・・・なのに不安になる。
「兄さんが聞いてるんだ。
返事位したらどうなの?」
このヒトが、あんなに優しい狼のシンくんなわけがない。
似てるなんて思ったけど、有り得ない。
・・・みんなににあいたい。
「まぁいい
女・・・こちらに来い。」
私にはちゃんと名前があるのに・・・
「です。」
「ちょっと!!
口答え・・・───」
「シン。」
シンくんは呆れたように『ハイハイ』と言って喋るのをやめた
一瞬目を離した隙にカルラさんは、私の目の前に居た
金色の瞳に見つめられると身動きがとれなくなる
「どうした?」
「・・・綺麗。」
瞳も、長い髪も、顔立も、綺麗すぎる。
「ククッ・・・そうか。」
「え?」
声に出してしまったようで笑われた!
恥ずかしくて私は急いで話題を変える。
「あの、お、お名前は・・・
カルラさん!」
「貴様はこれから私達とここに住むがいい
部屋はシンと一緒だ。」
「待ってよ兄さん!!なんでよ!」
「黙れシン。」
それ以上シンくんはカルラさんに噛み付かなかった
私もシンくんと一緒なんて嫌なのに...
「そんな顔されるとキレちゃいそうだから
やめてくれない?
色々案内するからついてきて・・・はやく!」
キレたいのはこっちだよ。
言われるがままに付いていきバスルーム、キッチン、よくわからない部屋など案内された
「まぁこんな感じかな?」
・・・眠い。
「ねぇ。人が親切に案内してるのに
何なのその態度?」
「眠いんだもん..お部屋帰ろう?」
顔を上げる事なくシンくんの服を引っ張る
「・・・昔と変わらないのも問題かもね。」
「ん?何か言った?」
「いや・・・なんでもない。
さっさと歩きなよ。
っていうか、服伸びるからやめてくれない?」
「あっ、ごめんなさい。」
言われた通りにシンくんの服から手を離し、尻尾の飾りを掴む
「はぁ・・・。
乱暴にしたら殴るからね?」
こんなヒトと一緒に過ごさなきゃなのか・・・。