第3章 心臓に流れる紅い確執
中庭から珍しく兄さんの気配..嫌な予感しかしない。
急いで駆け付けてオレが見たものは、兄さんに抱かれただった。
驚き言葉に詰まる。
何故兄さんがと?
オレが考えたところで兄さんの考えには至らない。
がオレに手を伸ばす
手をとろうとするけど、オレの手は届かないんだ...
────オレは今手をとろうとした・・・?
良く解らないまま兄さんに促され、を抱き抱える。
の唇は血に濡れていた
・・・兄さんに、血・・・吸われたんだね。
だからどうしようって訳でもないけど・・・なんだよ、この気持ち。
それでも目の前に御馳走があったらさ、食べるよね?
「こんなに汚れちゃって....」
の血を舐めとるけど、不快な気持ちは決して拭えなかった....
1つ言えるのは血の味は、最高だったって事くらい。
「・・・ごめんね。」
オレはを抱きかかえ家へ帰る。
連れて行きたい気持ちと、そうでない気持ちが交錯する。
「オレはアンタを唯のエサだと思えるのかな」
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────
取り敢えずオレのベッドでいいか。
をベッドへ寝かせ、兄さんの元へ行く
扉をノックし、声を掛ける。
「兄さん!入るよ。」
部屋に佇む兄さんは、どことなく機嫌が良さげだった。
「あの女の事を聞きにきたのだろう?
何故連れて帰るのか・・・と。」
「別に・・・そう言う訳じゃないけどさ。」
やっぱり兄さんには何でもお見通しってわけね。
「まぁいい。
あの女は我々始祖の血を有している。」
「はぁ?嘘でしょ!!?」
が始祖の血を..?
「私がオマエに嘘をつく必要があるのか。シン?」
「そう・・・だよね。」
オレ達一族にとって朗報でしかないのに、素直に喜べないオレはどうしてしまったんだろう。
兄さんの部屋を後にする
ふと違和感を感じ窓に視線を移すと、そこには蝙蝠がいた。
とても不自然に..ね。
「あーあ!やんなっちゃう....チッ。」
舌打ちと共に逆巻の使い魔であろう蝙蝠を燃やす
────なぁ。アンタは一体何者なんだい?
別に何者でも構わないけどね。