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This blood is your thing

第3章 心臓に流れる紅い確執



私はシンくんに借りたネックレスを返す為に学校に来ていた。

「まだ学校に居るかな?」
中庭に行けば会えるかな?

我ながら安易な考えだとは思う....

中庭に着いたと同時に周囲の空気が変わった気がした。

なんだろう?この感覚は畏怖?・・・少し違う気もする..だけど恐いのは確かで、その場に屈み込む。

「ほう...
始祖王の前で頭を垂れるとは、解っているではないか
面を上げろ..。」

威圧感のある低い声に躊躇いながらも顔を上げると、顔を半分覆った綺麗な人が、居た。

「貴様は...
まぁいいこちらへ来い。」

一瞬驚いた様子のその人が伸ばした手を、拒む事を私の身体は許さなかった。

「ククッ・・・血は、理解しているようだな
・・・賢明な判断だ。」

引き寄せられ突然耳元で囁かれた。

「ッ・・・!!」

予測出来ない行動に身体が強ばる。
このヒトはだれ・・・?

「・・・どうした?
何を驚いている。」

「あのっ・・・!」

声を振り絞る。

「耳元で叫ぶな
そのうるさい口塞ぐしかないようだな...。」

「え?」

『私の名は、カルラだ..。
良く憶えておくといい。』

カルラさん?の顔が近付き、唇が重なった・・・

────なに?

驚くと同時に鋭い痛みがはしった。

「んンッ・・・」

なに....これ..?

「っ!・・・・・んぅ・・・」

痛みはあるのに..恐いのに、嫌なのに
────逆らえない。

これがシュウのしてた事?

そう解った瞬間に私の頭は考える事を止めた。

「堕ちたか
間違っていなかったようだな。」

「兄さん!!
何を・・・────!!」

シンくんの声がする。

辛うじて振り返り手を伸ばすがシンくんには届かない。

「コレを運んでおけ
・・・いいな?」

コレって私・・・かな?
だけど今は、何も考えたくない。

「・・・ハイハイ。解ってるよ。」

「私は先に戻る。」

支えを無くした身体をシンくんが抱き留めてくれた。
その事に安堵し徐々に意識が遠くなっていく。

「こんな・・・─汚・・・───って」

唇に馴れない感触。

「・・・───ね。」

シンくんの言葉が聞き取れない。


でも、この感覚どこかで・・・。



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