第2章 僅かに見えた希望の鼓動 咎色の雲へと
柄にもなく引き留めたいと思った。
この腕で守ってやれるなら、それこそ永遠に守ってやりたかった。
口元まで掛けられたブランケットが息苦しくて仕方が無い。
バカなところはアヤトに似ていて
人の話を聞かないのはカナト似で
気楽な考え方は・・・ライトにそっくりだ
直ぐに手が出るところは紛れも無くスバルだな
無駄に世話焼きな面はレイジだろうな
鈍いところ、すぐ眠りに逃げるところは・・・オレか?
どうしようもないところばかり似やがって可哀想な奴だよ。
なぁ?
まだ温もりの残るベッド。
目を瞑れば何故か思い出ばかり蘇る。
始祖とヴァンパイアの混血だと言って親父が連れてきた日。
親父の髪で遊んでいたな。
真っ先に笑い掛けた先がレイジで、らしくなくレイジは顔を真っ赤にしていたのを憶えてる。
・・・だからあいつは、あんなに過保護なのか。
スバルに怒鳴られて良く不貞腐れてたりもした。
放っておけばいいのに、無駄に構うからだ。
『寝てばっかでつまんない。』
『シュウと居ると眠くなる。』と、あんたはよく口にしていた。
それでも、隣に居たクセに・・・
あんたと居るとオレも眠くなった。
そのまま寝てはレイジに────
「シュウ!起きて下さい。」
目を閉じたままレイジに問い掛ける。
「なぁレイジ。
聴き飽きたレコードも、もう聴けないって解ると・・・」
「・・・そうですね。寂しく思えますね。」
それ以上何も言わずレイジは出ていった。
レイジからはの匂いがした。
最後に会ったのがオレじゃなくて良かったんじゃない?
オレだったらきっと、柄にもない事をしただろう。
今は唯々、が残した温もりが苦しくて堪らない。
永遠に眠ってしまいたい位。
「あんたが・・・
あんたが居ない事に慣れるのがイヤだ。」
『嘘だ』って言って。
これは夢だと言って。
隣で夢をみさせて。
可愛いイモウト。