• テキストサイズ

This blood is your thing

第2章 僅かに見えた希望の鼓動 咎色の雲へと



「こんな時間に貴女一人で何処に行かれるのです?
・・・。」

レイジさんの目を見るのが辛い・・・。

「・・・お散歩。」

「ハァ・・・私は嘘をつくような妹に躾た憶えはありませんよ?」

レイジさんの指が私の目尻をなぞる。

「泣きながら散歩ですか?
それなら私も同行しますよ。」

と、レイジさんは微笑むけどその笑顔は哀しさを隠しきれてはいない。

「・・・全く。手を貸しなさい。」

私は服を握りしめ俯く。
涙が零れないように・・・だってそうでもしないと、又甘えてしまう。

「やだ。・・・優しくしないで。」

「おや?優しくなどしていませんよ。」

レイジさんの手が私の手に触れる。

「私の妹に当たり前の事をしているだけです
だからもう泣くのは、お止めなさい。」

今来た通路を手を引かれ歩き出す。

「本当に、ごめ・・・なさい・・・。」

レイジさんは振り返らずに、応えた。

「何年貴女と一緒に居ると思っているのですか?の思考は手を取る様に解りますよ。」

「ごめんなさい。」

「いいですか?良くお聞きなさい。
何がどうあっても貴女は逆巻 で、私達兄弟の妹です。
それは絶対に変えられませんし、変わりません。」

「何が・・・あっても・・・?」

「ええ。
だからくだらない事を考えるのは、やめなさい
・・・約束できますね?」

「それは・・・」

「、今まで通りで何か不満でも?」

「不満なんて何もない・・・!
だけど皆を、これ以上苦しめたくない・・・」

私は────・・・こうするしかないよね。

「私・・・家を出る。」

レイジさんの歩みが止まり、私の顔はレイジさんの背中にぶつかる。

「そう・・・ですか。」

「逆巻の名も出さない
もう、皆に迷惑掛けたくないの。」

私さえ居なくなれば・・・いくらか苦労は減るはずだ。

少しの沈黙の後にレイジさんは応えた。

「解りました・・・
だけど、覚えていて下さいね
貴女の家は此処、逆巻家だという事を。」

この手を離したくはない。
でも、離さなくてはいけない。

さようなら
優しいお兄ちゃん達。

「有難う。」

「。」

「は、・・・い。」

レイジさんが私をそっと、包み込んだ。

「レイジさん有難う。
・・・行ってきます。」



/ 69ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp