第2章 僅かに見えた希望の鼓動 咎色の雲へと
オレのベッドにを寝かせる。
気絶したコイツを運んだせいで身体がだるい。
隣に身体を沈める。
の指先からは、まだ少し血が滲んでいた。
傷口を塞ぐ為にの指先に口を付ける
が、慌てて離した。
「なん・・・だ。この血・・・。」
さっき不味い血を呑んだからか?
もっと、もっと────。
「呑みたいですか?」
いつの間にかレイジが扉を背に立っていた。
「貴方・・・今、の血の事しか考えていませんでしたね?
道理で私の存在にも気付かないわけです・・・全く。」
言いながらベッドに腰掛けの髪を梳く指先は馬鹿みたいに大事そうだった。
「レイジ・・・オマエ知ってたのか?」
「知っているも何も貴方も知っている筈ですよ。」
「は・・・?」
レイジはひとつ溜息をつき言った。
「私達兄弟は昔の血を吸った事がある・・・
と、言ったらシュウ・・・貴方はどうします?」
どういう事だ?そんな記憶はない。
「そんな記憶はない。・・・と考えていますね?
記憶がないのは当たり前です父上が消しましたからね。」
「何故か私の記憶はそのままですが」と付け足した。
「お陰で貴方達よりは耐性が付きましたが、微々たるものです・・・私も忘れてしまいたい位ですから。
父上はの血の味を憶えていて欲しくはなかったのでしょう。」
レイジは戒め役か・・・まぁ適任かもな。
「なんです?言いたい事があるなら、仰って下さい。」
「別に。」
「いいでしょう。血も止まった事ですし・・・
それよりシュウ何故は、倒れたのでしょう?」
「・・・さぁ?」
頬に涙の跡・・・か。
「もう、とっくに守ってやれていなかったんだな・・・。」
「シュウ、貴方・・・。」
「オレの事はどうだっていい。」
勘のイイやつはめんどくさい。
「たまには長男・・・いや。
人間みたいなところもあるのですね。」
「本当にイイ性格してるよレイジ
もう・・・寝る。」
疲れた。
「を残し部屋に戻れと?」
「たまには長男の言う事をきいたほうがいいんじゃねぇの?」
扉を開く音が聞こえ、足音は遠ざかっていった。
の血を、ねぇ・・・