第12章 殺気【一松】
一「!おいっ!」
「な、なにしてるの!ほのかちゃん!」
ほのかの手にいた子猫をすぐに奪い返した。
忘れていた。
マフィアの世界では動物を相手に静かに渡すと、
それは相手の殺傷能力を図ることを意味する。
「なにしてるのかって……私の技量を図るために
猫を渡したんじゃないですか?」
ほのかは訳がわからない、とでもいうような顔をしていた。
しかし…いくらなんでもこんなに人がたくさんいる中、殺そうとは思わないだろう。
ほのかは10年間の間で、東郷ファミリーによって
モラルが分からない全く別の人間になってしまったのではないか、そんな不安が俺の頭をよぎった。