第10章 趣味【チョロ松】
彼女の旋律に合わせて僕もそこにバイオリンの音色を重ねた。
「ふふ、息ピッタリですね!」
僕らの音楽は軽いコンサートみたいになってしまい、
他のお客さんたちが僕らの演奏を聴きに集まり始めた。
ラスト、高い音を奏でて、フィニッシュをむかえた。
周りのお客さんはパチパチと拍手喝采を僕らに送った。
チョロ「なんか、こういうの気持ちいいね」
「はい。でも…前にもこんなようなことがあったような、なかったような…」
チョロ「…え?」
思わず聞き返してしまった。
「あ…なんか、チョロ松さんと演奏したことがあるような気がして。もしかしてどこかのパーティで会ってたりとかしてたかも?」
ほのかちゃんはその日を思い出そうと一生懸命考えていた。
本来、ここで僕は止めるべきだったのかもしれない。
でもそれができなかった。
先ほど同じように私欲に負けて、どうしても彼女に僕のことだけは思い出して欲しかった。
だってーーーーーーー
君のことが好き…だから。
この晴らしどころのない思いを伝えようとしてほのかちゃんの方を向いた。
しかし、彼女の指の体は震えだし
顔をみるみると青ざめていった。