第4章 焦燥
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バスルームに入って約20分が経過した。
そろそろ怪しまれる頃合いだ。
しかし、どうにかして逃げないと。
そう思い、ジャケット裏に隠していた手榴弾を手に持った。
「あんまり使いたくないけど…仕方ない…」
最終手段を使おうとしたその時、バスルームのドアが開かれる音がした。
あつし「…何してるの?」
あちゃぁー…最悪だよ。
あつし「僕から逃げようとしたの?」
「逃げるも何も、はじめっからお前のもんじゃありませーん。」
私の言葉に彼がピクッと反応した。
そして私の手を掴み取り、手榴弾をそっと奪われてしまった。
あつし「…分かった。じゃぁ今から僕なしじゃ、生きられないってくらいめちゃくちゃにしてあげる。」
「はい?意味わかり…」
意味がわからないって言おうとした瞬間ーーー
あいつの顔が近づいてきたと思ったら口に柔らかい感触がした。
「〜〜〜〜〜っっ!」
初めてされた接吻というものに、私は頭が混乱してしまった。
あつし「ヘぇ〜その顔だと初めてだったみたいだね。
いつも男のふりをして強気な君も女の顔をするんだぁ。
よしっ。ベットへ行くよ。」
そういうと彼は私をヒョイっとお姫様抱っこして
ベットへと向かっていった。
怖い。好きでもない奴にこれから侵されてしまうんだ。
助けて…誰か。
私は焦燥を感じながら、ベットに放り出された。