第1章 理事長
「そうだったな …
アヤセ先生はわが学院理念にも
深く関心を持ってくれていたな…」
そういいながらゼノの指が
アヤセの顎にかかる…。
(えっ…!)
クイッとあげられたアヤセの顔…
視線がゼノのそれと間近でぶつかる…。
ゼノは真顔でアヤセの顔を見つめる。
「…あんなに面接で熱く語られて、心を打たれたのを思い出した…。」
そういうと顎を支えるゼノの指が
アヤセの顔の輪郭をゆっくりとなぞる…
(…っ…!)
「り、理事長…!?」
(な、何…!?)
なおもゼノは真顔でアヤセの頬を
ゆっくりとなぞり続ける…
アヤセの頬がみるみる赤くなり恥ずかしさに目線を逸らす…
それでもゼノは手を止めない。
(ど、どうしよう…恥ずかしい……!!)
「…っ…り、理事長!!」
思わずアヤセは叫んだ。
ゼノはハッとしてその手を離す。
「すまない…」
そういうとフッと笑み浮かべ、
「自身の考えに共感してもらえると言うのは
うれしいことだな。
つい感情が抑えられなかった。
さあ、このあとの予定があるのだろう?
行くといい。」
「は、はい…失礼します。」
そういうとアヤセは理事長室を後にする。
アヤセの頬にはまだ触れられた感触が残る。
(び、びっくりした…顔が熱い…)