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私立ウィスタリア学院~新米教師とイケメン教師たち

第1章 理事長


真新しいスーツに身を包んだ若い女性が校門に立つ。

ここは私立ウィスタリア学院。
紳士を育成することを目的に設立された男子高校。

大学を卒業したばかりの アヤセの就任先だ。

「よし、気合い入れて!がんばるぞ!」

(ここで私はあの真相を突き止めるんだ…!)

アヤセはある目的を胸にこの学院に来たのだが、
その目的がゆえにあんなことが起こるとは、
今は想像だもしなかった…。


トントン…
「失礼します。
今日からお世話になる
社会科担当のアヤセです。」

厳かな扉を開くと
そこにいたのは椅子に座った
威厳ある雰囲気をまとった若い男性だった。

この学院の理事長、ゼノだ。

「ああ、 アヤセ先生。よく我が学院に来てくれた。歓迎する。」

(ゼノ理事長…
面接のときに見た以来だけど、
高貴な雰囲気に少し圧倒されてしまうな…
緊張する…)

「至らないところばかりですが、
よろしくお願いします。」

ゼノは椅子から立ち上がり アヤセの前に歩み寄る。

「新米教師なんだから当たり前のことだ。
心配することではない。

それよりも…

面接のときにも話したがここは男ばかりの環境だ。
そちらの方が私は心配している。
なかなか女性教師が定着しないのも
そのせいかと思うが…

しかしアヤセ先生が面接で言った、
『いつか共学になったとき、
ここに来る女子生徒や女性教師が
安心して働ける環境を目指してがんばりたい』

…共学を目指している私はこの言葉に心を動かされた。

ぜひその想いを遂げて欲しいと思っている…。」


「は…はい…」

アヤセは気まずくて目を伏せた…

(後ろめたさを感じるな…
それは面接をクリアするために
用意しておいた中身のない言葉だったから…
私の本当の目的は別にあるのに…
ごめんなさい、理事長…)

「…?どうかしたか?」

「い、いえ…!
あ、あの、
でも当面はこちらの学院理念でもある、
紳士育成に少しでも力を添えられたら、
と思います…!」

思わずゼノが目を見開く。
しかしすぐにその表情がふっと緩んだ…。
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