Everlasting Lovers *ディアラバ*
第10章 生贄の花嫁
私に硬貨を渡した 次の瞬間、彼は私の前から姿を消した。
目まぐるしく起こった出来事が夢のように思えた。
「 リリ! 」
息を切らしたお兄ちゃんが、私の元に駆け寄ってきた。
「 このバカっ! どこ行ってたんだよ⁈ 心配したんだからな!」
「 ごめんなさい、お兄ちゃん。」
ぎゅーっと抱きしめてくる。
「 苦し… 」
「 あ? 悪い悪い。」
そう言って離した兄は、私の手元を見て固まった。
「 … その金、どうした? 」
兄とわかれたところから話し始める。顔をしかめつつ 最後まで聞いてくれた。
「 悪かった… 1人にすべきじゃなかったな。危ない目に合わせてごめん。」
「 ううん、お兄ちゃんの所為じゃないよ。それにその人が助けてくれたから!」
怖くなかったと言えば嘘だが、今はもう大丈夫だ。
ほっとした顔を兄は見せると、いきなり叫ぶ。
「 だあああああ! 俺も会いたかったな〜 父さんの友達! 」
「 お兄ちゃん 知ってるの?」
「 おう! 昔、父さんに聞いたんだ! 吸血鬼の友達の話。」
お兄ちゃんから お父さんの話を聞く。お兄ちゃんは私のこと 羨ましがってたけど、私はお父さんとの思い出があるお兄ちゃんが羨ましかった。
結局、お母さんのプレゼントは あの吸血鬼が最後 手にとっていたペンダントにした。あの人がお母さんを大切に思ってるのは伝わったし、その思いが届けばいい。
子供の私には少し重く感じる そのペンダントは 母にきっと良く似合うだろう。