Everlasting Lovers *ディアラバ*
第10章 生贄の花嫁
そして 1週間後、私達はお母さんの誕生日を祝った。
「 母さん! 母さんにプレゼント‼︎」
お兄ちゃんがあの日のペンダントをお母さんに渡した。するとペンダントを手にとったお母さんは目を丸くし、心配げに私達を見る。
「 こんな高価そうなの、どうして…… 」
「 実は1週間前、お母さんとお父さんの知り合いに会って その人に買ってもらったの。」
「 知り合い? 」
「 父さんの友達だよ! 吸血鬼の‼︎ 」
お母さんは顔色を変えると、私達を怒鳴った。
「 吸血鬼に会うなんて どこ行ったのよ⁈ あれほど吸血鬼には気をつけろって… 」
「 でも 父さんの友達だろ! 別に悪い人じゃ、、」
「 ダメよっ! あなた達は吸血鬼に関わっちゃダメなの‼︎ 」
いつも 声を荒げないお母さんの剣幕に驚いた。
「 … ごめんなさい。でも そのおじさん悪い吸血鬼じゃないよ。ほんとだよ? だって リリのこと助けてくれたもん… 」
「 … 助けて?」
「 ごめん、母さん。俺がリリ 1人にした時、悪い吸血鬼に…
それで 父さんの友達が、、」
お母さんは深くため息をついた後、私のほっぺをそっと包んだ。
「 ダメよ。もう 怪しげな まして人がいない所に行っちゃ! そういう所に吸血鬼が出やすいのは前に言ったわよね。エドガーもよ?」
「 うん… 」
「 おう… 」
うなだれる私達を見て、少し悲しそうな顔をしたお母さんは私達を抱き寄せた。
「 ありがとう。誕生日 祝ってくれようとしたんだよね… でもね、プレゼントなんか無くても 私はエドガーとリリが一緒ならいつだって幸せなんだよ? 」
お兄ちゃんは涙ぐんだ目をこすると、一面に桜を貼り付けた画用紙をお母さんに差し出した。
「 さっきのは母さんと父さんの友達から。これはリリと俺から。」
「 桜… ?」
「 母さんと父さんの思い出なんだろ? 」
画用紙を受け取ったお母さんは懐かしげに微笑んだ。
「 ありがとう。嬉しい…… 桜はこのペンダントをくれた人 3人との思い出でもあるんだよ。さっきはごめんなさい。そうね… エドガーの言う通り、、悪い吸血鬼じゃないよ。」
その後、お母さんはペンダントを握りしめ 呟いた。
「 …… バカな人。」
その瞳には 涙が浮かんでいた。