Everlasting Lovers *ディアラバ*
第10章 生贄の花嫁
夢見心地の中、声が聞こえる。
「 … おい、起きろ。」
目を開けると、いつの間にかさっき兄といた道だった。助けてくれた吸血鬼が心配げに私を見ている。
「 助けてくれてありがとうございました。」
お礼を言うと、彼は眉間に皺を寄せた。
「 礼はいらん。仕事の1つだ。それより なんであんなところにいた? 親とはぐれたのか?」
「 ううん。お兄ちゃんと来たけど 今は分かれて プレゼントを探してたの!」
「 プレゼント?」
「 うん! リリのお母さん もうすぐ誕生日なんだよ!」
そう言うと 彼はフッと微笑んだ。
「 … そうか、、 なら俺からのプレゼントも渡しといてくれ。」
「 プレゼント? お母さんのこと知らないのに?」
不思議に思い尋ねると、吸血鬼は切なげな表情を浮かべた。
「 … 知ってるよ。お前は顔だけじゃなく血の香りまでユリに似ている。すぐに気づいた。」
彼は私の手を取り、高級そうなアクセサリーを飾るお店に入った。
キラキラした空間に戸惑う私に問いかける。
「 どれが お前の母親に似合うと思う?」
「 え? 」
こんな高そうな物をお母さんに…
さすがに怪しく思って、不安になる。そんな私に気づいたのか 彼は言った。
「 … お前の母親と父親には恩がある。ナギもあいつの誕生日を祝ってやりたいだろうしな。その代理だ。」
ナギ… お父さんのことも知ってるんだ。
ふと思う。プレゼントよりも この人とお母さんを会わせた方が喜ぶんじゃないかな?
「 あのっ… 」
「 なんだ?」
宝石をあしらったペンダントを手に取りながら、私の方を見た。
「 プレゼントよりも お母さんに会ってあげてください! お母さん、私達のことばっかりで 自分のお友達とか全然いないから あなたが会いに来てくれたら きっと喜んで、、」
彼は一瞬 目を見開くと、顔を背け 私の頭を撫でた。
「 会わないよ。ユリは、お前の母親は それを望んでないしね。それでいいんだ。 考えたら こんなアクセサリーを贈られても困るか、あいつは。俺はナギじゃないしな… 」
悲しげに笑うと、私の手に充分すぎるほどの硬貨を握らせた。
「 それで 母親にプレゼントを買ってやれ。子供に貰ったものならなんでも喜ぶだろ。」