Everlasting Lovers *ディアラバ*
第10章 生贄の花嫁
家の近くに桜並木がある。そこに着くと、辺り一面 桜のカーペットが出来ていた。2人で好きなだけカバンいっぱいに桜の花びらを集めていく。満足し、家に帰ろうと歩き出したが、私の手を引っ張り前を行くお兄ちゃんが急に振り向いた。
「 … 桜の花びらはいいんだけどさ。これだけじゃ寂しくないか?」
「 でもプレゼントのお金そんなにないよ?」
2人のお小遣いは大体がケーキに消える予定だ。
お兄ちゃんは考えこむと、昔ながらのお店が並ぶ道を指差した。
「 あっちらへん探してみよーぜ! 掘り出しもんってやつがあるかも知れねーだろ?」
一軒ずつ見ていく。小さなオルゴール、花をあしらったブローチ いいなと思う物はたくさんあっても 2人のお小遣いじゃ到底買えない値段だった。
「 見つからないね… 」
「 な… こうなったら別々に探してみるか! 俺はあっち、リリはそっち‼︎ 」
「 うん! 」
お兄ちゃんと反対方向に進んでいく。
いろいろなお店があった。南国風の雑貨店に、アンティーク雑貨も置いてある楽器屋さん。物珍しくて つい曲がり角を曲がったり、奥に入ったりして、気づいたら さっきいた所とは全然違う所にいた。
「 なんか暗くて怖い……」
お兄ちゃんといた所に帰ろうと歩いても、さらに暗がりに進んでしまう。心細さに涙が出そうになる。
そんな時、急に背筋がぞわっとした。
「 人間?」
「 ああ、今日はツイてるな。人気がない場所で餌が見つかるなんて。」
「 お嬢ちゃん、こんなところでどうしたの?」
振り返ると、怪しげに笑う3人の吸血鬼がいた。