Everlasting Lovers *ディアラバ*
第10章 生贄の花嫁
「 …じゃあ お父さんとお母さんの思い出のものをプレゼントにするの。」
「 思い出のもの…」
お兄ちゃんはふと顎に手をやると、ひらめいたとリビングから飛び出した。
「 お兄ちゃん、どこ行くの?」
「 父さんの部屋! 何か手がかりがあるかもしんないだろ‼︎ 」
2階に駆け上がり、昔のままだというお父さんの部屋に行く。
お兄ちゃんは本棚からアルバムを引っ張り出し、床に座り それを開いた。
「 思い出のもの、思い出のものっと… 」
呟きながら パラパラ ページをめくっていく。
2人が結婚する前は ほとんどツーショットの写真はなく、もう1人 男の人が写っていた。結婚式の写真の後はお父さんが撮ったであろうお母さん、お兄ちゃん、私の写真ばかりだ。
「 わかんねーな〜 」
「 ねえ お兄ちゃん、なんか挟まってるよ!」
アルバムの最後に挟まっていた手紙を指差す。お兄ちゃんは そっと封筒から便箋を取り出した。
「 なんだ? 結婚おめでとう。式には行けないが 思い出の品を添えておくよ、、」
するとお兄ちゃんは目を爛々と輝かせ、封筒をひっくり返した。
出てきたのは、、
「 桜……? 」
桜の花びらが数枚 はらはらと舞った。
兄と顔を見合わせる。ちょうど桜が満開の時期だ。外に行けば いくらでも 桜の花びらを集められる。
母の手縫いのバッグを持ち 空いた手を繋ぎ、私達は外へ飛び出した。