The result of revenge [ディアラバ]
第7章 Passing~すれ違い~
この私がここまで何かに目を奪われるなど...
それ程に彼女の横顔は綺麗で、もしかすると月明かりが余計にそうさせているのかも知れないが
彼女の紡ぎだす音色にしばらく耳を傾けていた...
すると、突然手が止まった。
私はとっさに廊下側の壁に背中をつけ、彼女から見えない位置に移動した
「レイジさん...今頃何してるんだろう」
確かにそう聞こえた
私は眼鏡を指で押し上げながら鼻で笑う
彼女もまた私の事を考えていたのか...
どこかで期待していた事が、だんだんと真実味を帯びて行く
「私のこの感情も、月蝕のせいなのでしょうか」
私の言葉と同時に、鐘の音が鳴った
彼女が立ち上がる音が聞こえたので、すぐに自分の教室の方へと戻って行った。
私があんなに酷いことをしたにも関わらず、ユウラが私の事を考えていたとは...
不覚にも、もう確かめ合う時が来てしまっている様に感じてしまった。
そうすれば彼女は永遠に私のモノになるのだから...
そうしてからじっくりユウラへの本当の想いを考えるのも悪くないのかも知れない...
教室へ戻り、私はいつも通り平然としていた。
何事も完璧にこなさないと気が済まないという性格は誰に似たのだろうか...
たまにそれが重荷になっている
幼い頃から期待に答えたいと必死にやってきた。だけどいつも注目されるのは決まって〝シュウ〟だった...母上も父上もシュウしか見ていないのだろうと、そう決めつけていた。
だから、私は罪を犯した...
歪んでしまった私は、シュウの大切なモノを奪った。それ程にシュウが羨ましかったのだろうか...
今でもその罪に縛られている。
シュウがあんな風になってしまったのは、私が原因でもある
けれど何故か、あの頃からシュウは感情をむき出しに私を責め立てたりした事はなかった...
そんなシュウを見ていれば、自然に私もその事について触れる事は出来なかった。
『あ!ねぇ、逆巻くん?ちょっといい?』
突然クラスメイトに話しかけられる
「何でしょうか」
こんな気分の時には、そっとしておいて欲しかったが、何か問題を起こしたくもない
『先生に資料室まで用事頼まれちゃったんだけど、逆巻くん身長大きいから、ちょっと手伝って欲しくて』