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The result of revenge [ディアラバ]

第7章 Passing~すれ違い~




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あの時...ユウラを痛めつけた
自分を見失うなどありえない筈だ。
彼女があんな隙を私に見せた事で、不安にでもなったと言うのか?
不安とは何か...

学校へ向かう車内、私はそんな事ばかり考えていた。
あれから兄弟達はあまりユウラにちょっかいを出すことは無くなった様に思える
だからこそ余計に彼女が安心し、私以外の前で、あの時の様な態度を取られては困ると、無意識に感じたのだろう。

それ程に私の中での彼女への思いは大きくなっていた...
もう本格的に自覚せざるをえないか
初めはただ守らなければという使命感、それは父上から頼まれた女性だからだと思っていた。いや、今思えばそう思いたかっただけだったと言った方が正しい
そのうちに、どこか目が離せなくなり、自分の所有物だとゆう独占欲が芽生えた...そして、彼女の真実も知りたい。

あぁ...私とした事が、自分以外の誰かに心を奪われたなど...


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車内で一瞬だけユウラの方を見たが、彼女が俯いていたせいか、その表情までは見えなかった。

しばらくすると学校へ着く
「さ、着きましたよ」
私がそう言うと、全員がそれぞれ校舎の方へ歩いて行った。
私は最後に降りて行き、ユウラから自分が見えない方向へ歩く
そんな事をして何がしたいか...
いや、とにかくこれから学校へ行くのだから、学業に専念しなくては───


淡々と授業を受け、いつもの様に学園生活を送る
いつもなら面倒だと思うこの日常も、今は余計な事を考えずに済んでいる点では、まんざらでもない。

ふと耳を済ますと聴こえてきた音...
この音はピアノか?
胸騒ぎがした私は授業中だというのに、適当な理由をつけて教室を後にした。

「ピアノがあるのは...音楽室ですね」
どうしたというのか、何故か引き寄せられる様に音楽室へと向かう

ピアノの音がどんどん近くなる
その旋律は、どこか悲しく感じる、そんな音色だった...

音楽室の前に着く
照明もついていないその教室の中をそっと覗くと、そこに居たのは、月明かりに照らされながら、ピアノに向き合い、鍵盤の上に指をはしらせているユウラの姿だった。

私はその美しい姿に目を奪われてしまっていた...


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