The result of revenge [ディアラバ]
第5章 Destiny~運命~
「いいじゃん!ね、こっち座って♪」
随分機嫌が良さそうだ...
ユウラはピアノの椅子の端に少し移動して、オレに座れと言ってくる
いつもなら絶対に断るオレも、何故か今は素直だった。彼女の隣に座り、
「ほら、座ってあげたよ」
そう言うと、ユウラは満足そうな顔をしていた
薄暗い部屋に2人きり...オレは何をしているんだろうか
ユウラは兄さんのモノなのに...そんなの初めから決まっていたはず...
いつからか気が付いてしまったこの想いを、隠し続けるにはもう限界だった...
「ユウラ...」
「ん?なに?」
片手でトントンとピアノを弾いている
「シン君もほら、やってみて」
「え?...あ、こう?」
言おうとした言葉が言えなかった...
いや、言わなかっただけか
「はぁ...オレも随分と臆病になったもんだ」
「ん?何か言った?」
「何でもないよ」
「ふーん...」
と、ちょっとだけ口を膨らませていたユウラの顔は、全然昔と変わらない。
それから少しの時間、ユウラと2人でふざけたピアノを弾き、くだらない話をした。
その話の中でオレは、この万魔殿から脱出する準備をしているとユウラに伝えた
すると彼女はとても驚いていたが、同時にとても喜んだ。
その時のオレは、この先もずっとユウラと、そして兄さんと居られると、そう思っていた────