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The result of revenge [ディアラバ]

第5章 Destiny~運命~



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兄さんの病は進行している...

『......シン...色々すまないな』
なんて言って、ホント兄さんらしくない

オレは認めたくなかった、あんな弱気な事を言う兄さんを...病がそうさせてるなら尚更

「ちっ、むしゃくしゃするな」
ポケットに手を突っ込んで広い廊下を歩く

あの日以来自ら兄さんの所へは行っていない。
何か用事がある時に、呼び出される位だった

何をそんなに焦っているのか...
ここを出る計画は進んでいると、それだけしか教えてくれない。
兄さんはいつもそうだ...一人で何でも抱え込む


──♪

ふと聞こえて来たのは、ユウラの弾くピアノの音、
心地よい程のその音色は、苛立っていたオレの感情を落ち着かせる...
音のする方へ自然と足が動いていた

少し開いたドアの隙間から、彼女の姿が見える
薄暗い月明かりの中、ピアノの鍵盤を叩く姿に思わず目を奪われた──

そのまま側に行きたいと、そう思わされる
部屋の中へ入ると、オレの姿に気が付いた彼女は、弾く手を止める

「あ...シン君!どうしたの?」
そう言ってオレの方を無邪気に見る
こんな心情のオレにそんな顔を見せないで欲しい
「...別に、なんでもないよ。ピアノ、そのまま弾いててくれない?」
オレはピアノの側に行き、肘をついてユウラの弾く音に耳をすませる

ふと彼女の顔を見る
月明かりに照らされ、しなやかに動く指、真っ直ぐ鍵盤を見つめ、気持ち良さそうに弾いている

「...そんな表情してさ...オレどうしたらいい訳...」
そう呟いた言葉は、ピアノの音にかき消されていた

ひとしきり弾き終わり、満足そうなユウラ。

「珍しいね、シン君がおとなしく私のピアノ聴いてるなんて」

「あぁ...いや、オレだってたまにはそうゆう時だってあるさ」
柄にも無いこと位分かってる
けど、今はどうしても側に居て欲しいと思ってしまったんだ...

「じゃぁもっと弾く?そうだ!シン君も弾いてみる?」

「はぁ?オレが?まさか、そんな事する訳ないでしょ!」
ホント笑わせてくれるよね、ユウラは...


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