The result of revenge [ディアラバ]
第9章 Confrontation~向き合うこと~
ちょうどレイジさんの座っているソファーの脇を通り過ぎようとした時だった
「...貴女、私に挨拶もせずにそのままどこへ行こうとしているのです?」
そう言われ、立ち止まる。
「え、あの...その...」
いつも私は見送る時に、レイジさんとはなるべく会話をしない様にと必死に他の兄弟達と話をしていたのに、今日はそれが出来ない...
「挨拶位ちゃんとしなさい。」
紅茶の入ったティーカップを持ちながら、私の方は見ずに言う
「すみません。気をつけます...」
私もレイジさんの顔を見れずに返してしまう。
こんな雰囲気になりたい訳じゃないのに...
上手くできない。
その後すぐにアヤト君やライト君、次々に皆がダルそうにしながら、リビングへと集まって来た
その事で少しだけ安心してしまった私の心の中は、後悔の念と安堵がごちゃごちゃになる。
そして、いつも通りとはいかなかったけれど、皆が学校へ行くのを見送った...
その次の日、相変わらず部屋で本を読んでいた時だった...
突然私の中の何かが変わったのを感じた───
何にも例えようがない。
ソワソワする様な、感覚が研ぎ澄まされるような、今なら何でも出来るような、そう。そんな感覚...
「...何だろ...カラダが変...あと2日後が月蝕だからかな...」
え?!────私今何て?
〝2日後が月蝕〟
なぜ、どうして分かったの?
確かにレイジさんは月蝕が近いとは言っていたけれど、明確な日までは言っていなかったはず...
「きっと私の中に半分流れる始祖の血がそう感じさせてくれたのかも...」
そう意識してしまった今。その湧き上がるような感覚がどんどん増していく
読んでいた本を閉じると、吸い寄せられるように私の足は外へと向かっていた───
すぐに外に出られる場所は、屋敷にあるバルコニー。
バルコニーに着くと、私は
夜空を眺めながら、月の光を浴びて目を閉じ、深呼吸をする...
「ふぅ、今なら何でも出来る気がする...」
そのまま私はしばらくバルコニーにある椅子に座り、夜風を感じながら、ただ遠くを見ていた。
すると、遠くから聞こえてくる車の音。
「あ、皆が帰ってくる」
いつもの私なら、すぐ部屋に戻るのに
今日は、そのままバルコニーの椅子に座ったまま動かなかった...
動く必要もないと思った───