The result of revenge [ディアラバ]
第8章 Confident feelings~確信した想い~
「ええ。そうですけど、貴女なぜそれを知っているのです?」
私もまたユウラの方へと顔を向け、答える
けれど私は彼女に、月蝕が近いとだけしか伝えていない筈だ。けれどユウラはいつが月蝕なのか的確に感じ取っている...
「兄弟達の誰かから聞いたのですか?」
「え...いや、あの...」
そう言いながら繋がれていた手を離し、顔をそらす。
そんな仕草から、見るからに彼女が焦っているのが分かる
私は思った。やはり、ユウラが普通の人間ではない事は間違いない...あの時の傷口の治り方と、独特な血の味、その匂いを思えば、私の憶測は正しかったと言える。
「まぁ、いいでしょう。それより、月蝕と言えども人間の貴女には特に関係の無い事でしょう?それなのに、何か気になる事でもあるのですか?」
私は腕を組み、本質に迫る様に問い掛ける
少しの沈黙が続いた
離された手がまだ少しだけ暖かい...
ユウラからの返事を待つ間、耐え難い感覚に襲われる...真実を知るのが怖いのか、いや...私が恐怖を感じるなどありえない筈だが──
その感覚から逃れようと、私はテーブルに置かれていた本を手に取り、開く
すると、本を読み始めようとしたその時、彼女はやっと話し始めた
「...かい...」
「何です?もう少しはっきりと仰って頂けますか?」
声が小さく、よく聞き取れなかった
すると彼女はもう一度、今度ははっきりとした口調で言い直す
「魔界──。」
「..っ、魔界?...それが何か」
この状況で、〝魔界〟などという言葉がユウラの口から発せられた事に少しだけ驚くも、そのまま続けて私の問いかけに対して答え始めた...
「私...月蝕の時、魔界に行きたいんです。レイジさんがもし良ければですけど、私を魔界に連れて行ってくれませんか?...」
?!
「...!なぜ魔界なのです!?私はこの間の晩餐会の後、言った筈ですよ?魔界もまた月蝕に入ると。貴女はその意味を全く理解していない」
「もちろん...分かってます。それを承知で頼んでるんです」
いきなり何を言っているのだろうか。
一体何の根拠があって魔界に行きたいなどと言っているのか...