The result of revenge [ディアラバ]
第7章 Passing~すれ違い~
けれど、何かがあったのだろうか、あるいは月蝕が近いからなのか...ある時突然彼等から、その勢いが少なくなった様に感じている。
私はいったいどうしてレイジさんだけに興味を持ったのだろう...
他の兄弟達は皆、私を見る度に血を求めて来ていたのに、レイジさんだけそうして来なかったから?
レイジさんの顔が頭に浮かんだ瞬間に、初めて彼に吸血された時の事を思い出す...
あの時私は、レイジさんからの吸血をすんなりと受け入れた。
憎悪の対象だったヴァンパイアからの吸血という行為のはずなのに───
本当に少しの間だけれど、レイジさんの側にいた事で、憎しみだけに支配され、それを表に出している自分が愚かに思えたのかも知れない
今になれば、私に足りないモノを持っているレイジさんに自然と惹かれたのだろう...
レイジさんが時折見せる悲しい表情の深意も気になる。
何を考えているのか知りたい。
彼の中に、私の〝存在意義〟はあるの?
私を側に置いてくれると言ってくれた時は、とても嬉しかった
私だけに見せている表情がある、私だけに触れてくれている、と...どこがで欲が生まれていたのかも知れない。
ふと、幽閉されていた頃に読んだ本の内容が頭の中に浮かんできた。
その本の主人公は、ある男性に〝恋心〟を抱いていく、と言う内容だった。
主人公と男性との出会い、その後の主人公の心のあり方が、あの頃は全く理解出来ずに、流し読みをしていた。けれど、今ならその本の主人公の心の動きや苦しみが、少し理解できる様な気がする
私はレイジさんに〝恋〟をしているの?
こんなに醜く苦しいなんて...知らなければ良かった。
そして、その本の結末は────