第2章 待つわ
過去にもこんな雰囲気になったことがあったもの。
いま思えば必ず危険な任務を受けた時はこんな感じだった。
突然惟臣から誘いがあって、眉間のシワが何時もより深くて。
きっと今度の任務は大袈裟に言えば地球の存亡が関わるくらいなのかもしれない。
そっと惟臣に抱きつく。
手も、声も、体も少し震える。
「それなら、お願いします。その任務が終わってからもう一度…」
涙で声がでない。
これ以上先が言えない。
「わかった。」
赤子をあやすように惟臣は頭を撫でてくれた。
それだけで安心する。
「この任務が終わったらもう一度言う。待っていてくれ悠梨。」
「はい。」
今度は素直に言えたよ。
私、待ってるね。