第37章 遊郭へ
「お前は段々と死んでいくだろうしなぁ。こうしている今もオレ達はジワジワ勝ってるんだよなぁ」
「それはどうかな!?」
例え倒し方を見破られたとしても、王手を取っているのはこちらの方だ。
焦ることもなく悠々と告げる妓夫太郎の言葉を覆い尽くす勢いで遮ったのは、突如壊れた穴から現れた二つの影だった。
「オレを忘れちゃいけねぇぜ! この伊之助様と!その手下がいるんだぜ!!」
猪の被り物を被った上半身裸の少年。そして鼻提灯を上げながらもしっかり二つの足で立っている金髪の少年だ。
更には二階の壊れた天井穴から飛び降りた影が、天元を守るように前に立つ。
赤みを帯びた髪に、額に痣のある少年。竈門炭治郎だ。
「下っ端が何人来たところで幸せな未来なんて待ってねぇからなぁ。全員死ぬのにそうやって瞳をきらきらさすなよなぁあ」
殺される恐怖など微塵もない。
緊張感は持っているが、真っ直ぐに敵を睨み付ける三人の幼い鬼殺隊の登場に、妓夫太郎は不満そうに己の顔をぼりぼりと引っ掻いた。
こちとら殺される恐怖などない。それでもその目が気に喰わないのだ。
「勝つぜ! 俺達鬼殺隊は!!」
はつらつとした強い声が響き渡る。
まるで彼らの登場に士気を上げてもらったかのように、威風堂々と宣言したのは天元だ。
「勝てないわよ! 頼みの綱の柱が毒にやられてちゃあね!」
「余裕で勝つわボケ雑魚がァ! 毒回ってるくらいの足枷があってトントンなんだよ! 人間様を舐めんじゃねぇ!!」
まさか天元の体に毒が回っているとは。驚き振り返る炭治郎の目に威勢を飛ばす男が映る。
額当ては割れ、血が滴り、白銀の髪は乱れている。今まで見たことのない負傷した姿だ。
「こいつらは三人共優秀な俺の継子だ! 逃げねぇ根性がある! 手足が千切れても喰らいつくぜ!」
なのに何故か、その姿に不安は感じさせない。
寧ろ力強く炭治郎の背を押すようだった。
「そしてテメェらの倒し方は既に俺が看破した! 同時に頸を斬ることだ! 二人同時にな! そうだろ!!」
髪色も顔立ちも背格好もまるで違う。
なのにその姿には過去に傍で垣間見た、力強いあの柱の姿を重ねさせた。
焔色の髪を持つ、燃える炎のようなあの男の。