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【Free!】 溺れる君 【橘真琴】

第1章 溺れる私


「でも、天ちゃん先生、いい先生だよー!?」
「それはさー、部活の事があるからでしょ?」

呆れ顔で言うと、案の定図星だったらしく。
まぁねーと言ってへらりと笑った。…くそ、可愛いな。

「それはそうとさ!! 部活のマネージャー足りないんだよねぇ…」

おぉう…、江ちゃんの口がニャンコの口に見えるわ…。

どうやら江ちゃんは最近、新しくできた水泳部のマネージャーになったらしく、同じ学年の金髪のふわふわした子と青髪のインテリくんと一緒に居るのをよく見かける。
そこまでは全然構わないのだけれど、意外とマネージャーの仕事がキツいらしく、元から仲の良く、何の部活動もしていない私をやたらとマネージャーに誘ってくるのだ。

「…何がそれはそうと…よ。何回も聞いたよそれ…」
「何回も言ってるんだから引き受けてよー!! 香織!! おーねーがぁーい!!」
「何回もことわってるでしょー…」

顔をしかめた私に対して、江ちゃんは少し涙目になりながら上目使いで見上げてくる。
…だから可愛いんだって!!!

「そこをなんとかぁ!! 本当に忙しいのよ!! 部長も疲れがたまってるみたいでさぁ…」

何とか負担を軽くしてあげたいんだけど…。と続ける江ちゃんに、頭の中で水泳部の2年を思い浮かべた。
……はて、部長って…。
浮かんだのは、黒髪で静かな印象の人と、茶髪で優しい印象の二人だった。
確か毎日懲りずにプールに通ってるのって…黒髪だったような?

「部長って、黒い髪の人?」

なんとなく、熱心な人が部長かな?なんて思って質問すると、江ちゃんは苦笑しながら違うよと言った。

「それは遥先輩。部長は真琴先輩だよ」

ふぅん…、黒髪の人が遥先輩で。茶髪が真琴先輩…。

改めて真琴先輩とやらを思い浮かべて、確かに、彼なら部長とか重そうな役職をやらされて困り果ててそうなのが目に浮かぶなぁ…と思った。
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