• テキストサイズ

君への5センチメートル【ハイキュー!!】

第7章 Coffee Breakをしよう①


みなみさんは勝手知ったりという様子で、まっすぐキッチンに向かい、両手のレジ袋をカウンターに置いた。俺は急いで顔を洗い、ヨレヨレのジャージからもう少しマシな服に着替えた。リビングのイスに腰掛け、キッチンのカウンター越しにあれこれと準備をするみなみさんの背中を眺める。

病み上がりのボンヤリした頭で見つめていると、こちらを振り返ったみなみさんと目が合う。そして優しく微笑んで言った。

「何か食べたい物はある?」

「んー…ホントは激辛麻婆豆腐が食いたいって言いたいとこだけど、今はやめとく」

「ふふふ、そうだね。…じゃあ、お粥でもいい?材料も買ってきたし」

「ん、ありがと」

みなみさんはスーツの上着だけ脱いで俺の向かいのイスに掛け、早速調理に取りかかった。具材を刻む包丁のリズムが耳に心地良い。手際よくテキパキと動くその背中を眺めながら、新婚さんってこんな感じなのかな、なんてバカなことをぼんやり考える。

「今日は烏養さんも部活に来てたわよ」

声をかけられて我に返る。
シンクで手を動かしながら、みなみさんは言った。

「このままずっとコーチでいてくれるといいのに…」

「まぁ、合宿終わるまでだって話だったからな…。烏養さんだって仕事だとか色々あるだろーし。…てゆーか、みなみさん今日も仕事?休みなのに働きすぎじゃねーの?」

「ん、まだ慣れなくて追いつかないのよ…。でもそのおかげで部活も覗けたし大丈夫」

そう言って微笑む目元には、薄っすらとクマが浮かんでいた。

…何言ってんだよ。不器用なくせに真面目で頑張り屋で、そのくせそれを表に出さないトコは、昔から変わってないんだな、ホント。

「…あんま無理すんなよ。まぁ、風邪引いて飯作りに来てもらってる俺が言うのもなんだけどさ」

「うん、ありがと」
/ 139ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp