第11章 ふたりの距離
「確かに俺は年下だし、学生だし…みなみさんが俺のことそういう風に見てない事くらい、嫌になるくらい分かんべよ。だから、みなみさんが本当に嫌なら、この場でスッパリ断ってくれてもいーべ」
「………」
「…だけど、もし少しでも俺に可能性があるなら、今すぐ返事しなくていいから。その時は俺、卒業してからもう一回告白するから」
「私の…気持ち…」
ポツリとこぼしてみなみさんは胸に手を当て、静かに瞳を閉じる。心臓が止まってしまうかと思うくらい長い長い沈黙のあと、小さく息を吸って言った。
「………分かった」
そっと開いた瞳。
その視線と視線がぶつかり、宙で交わる。
一瞬だけ、時が止まったような気がした。
…いま、分かった、って言ったよな…?
それってつまり…
とりあえずはオーケーってこと…
なのか…?
スローモーションのように、
ゆっくりと思考が動き始める。
魂が半分抜けてしまったかのようなボンヤリとした感覚。そこから抜け出す前に、俺の腕は自然とみなみさんに伸びていた。
両手でそっと包むように、
みなみさんの頬に触れる。
しっとりと涙で濡れた肌を親指で拭い、
唇に触れる代わりに、
コツンと額をくっつけた。
ひゃ、とみなみさんがかすかに喉を鳴らす。
それ以上驚かさないように、
俺はできるだけ優しく、丁寧に伝えた。
「ありがと…」
「……ん」
すぐに身体を離して、俺は言う。
「……いきなりこんなこと言ってゴメンな?」
「ううん、私の方こそ…ずっと逃げ回ったりして…」
「そーだよ、結構傷ついたんだぞ?」
わざと怒ったような口調で言うと、みなみさんは泣きっ面のまま少しだけ微笑んだ。
「今は頼りない弟かもしんないけどさ、これからは少しだけでいいから俺のこと見ててよ」
「うん…」
みなみさんは鼻をすすって、曖昧な声で頷いた。