• テキストサイズ

君への5センチメートル【ハイキュー!!】

第5章 練習試合と邂逅


「…まぁ、あれだ」

頭を掻きながら前置きをして、誠人君は続ける。

「とにかく、元気そうで良かったよ。烏野に行ったってのは聞いてたけど、ずっと会ってなかったからさ。母校に何か用でもあったか?」

「あ、うん。今日、担当してる部活の練習試合で、それで…」

「もしかして…バレー部か…?」

「えっ、なんで分かったの…?」

「奇遇だな…実は俺もココのバレー部の副顧問してんだよ。練習中に選手が一人怪我してな、保健室から帰ってくるのを待ってたんだがーーー」

「藤宮センセー、お待たせしました〜」

その時、廊下の向こうからのんびりと間延びした声が飛んできた。誠人君は振り返って声の主を確認するなり、呆れ顔になる。

「ったく…待ちくたびれたから先に行くトコだったぞ。何してたんだよ、及川」

「いやぁ〜スミマセン。俺を心配した女の子達が、保健室に押しかけちゃって…」

「何バカなこと言ってんだ。せっかく練習試合で先方が来てくれてんのに…」

オイカワ、と呼ばれたその男の子は、誠人君よりも更に数センチ高い長身だった。見ると、足元をテーピングで丁寧に固定してある。

「ところで…」と、及川君は私に視線を移した。サラリと値踏みされるような目を向けられ、私は思わず一歩引いてしまう。

「ソッチの人は?もしかして先生のカノジョとか?」

「ば、バカっ、違うよ…!」

「なぁーんだ、随分嬉しそうに話してたから絶対そうだと思ったんですケド」

「ただの後輩だ、大学の時の。烏野高校バレー部の先生で、野村みなみ先生。今日の試合の引率に来たそうだ」

「ナルホド。俺は青城バレー部のキャプテンしてます、及川でーす」

そう言って、及川君はにこりと品良く笑い、私に手を差し出した。私もつられて握手する。

「よ、よろしくお願いします」

「コチラこそ〜」
/ 139ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp